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法律コラム 

通路と隣人トラブル

 
設例
私の土地は公道に出るためには、隣人のAさんの土地を通らなければなりません。Aさんとは長年、正常な近隣関係を維持していました。また、Aさんの土地の上に幅1メートルくらいの通路を設けて通らせてもらっていました。しかし、Aさんが先月から急に冷淡な態度をとり、嫌がらせをするようになりました。そして、突然通路にブロック塀を設けて、私が通ることを邪魔しています。
 


1 袋地と囲繞地の区別を教えてください

 袋地とは、上記の私の土地の部分のように、周囲を他の土地に囲まれ公道に出る手段がない土地を言います。囲繞地とは囲んでいる土地を言います。ところで、川や水路などで通ることができない場合はもちろん、崖などで著しい高低差が生じている場合も同様です。
 

2 隣地通行権(囲繞地通行権)とはどういうものですか

 民法は、相隣関係について様々な規定をおいて、権利の調整を図っています。この中でもっとも重要な制度が、隣地通行権です。袋地の所有者・使用者が、囲繞地を通る権利です。
 どこの土地を通って良いかという問題があります。原則として、他人の土地を侵害することが最も少ないような通り方を考えてください。
 ただし、例外的に、土地の分割により生じた袋地については、通行できる土地が分割されたほかの土地に限ります。たとえば、「私の土地」とBの土地がかつてはひとつの土地であったが、Bが分割したことによって、「私の土地」が袋地になってしまった場合は、Bの土地に限って隣地通行権が認められます。
 

3 登記できますか

 通路の登記はできません。
 袋地の所有権移転登記がなくても、隣地通行権は発生します。
 なお、通行地役権などは登記ができます。
 

4 通行料は必要ですか

 必要です。ただし、土地の分割により生じた袋地については、通行できる土地が分割されたほかの土地に限るかわりに無料になります。
 通行料(償金)は、通路解説のために生じた損金に対する償金として、一時的に支払わなければなりません。さらに、それ以外に損害が生じている場合は、これに対する償金も支払う必要がありますが、これについては1年毎に定期払いすることができます。金額は賃料を基準に考えるのが一般です。
 

5 通路を設けることはできますか

 できます。たとえば、砂利を敷いたり、石段を作ったり、アスファルトで道を舗装することができます。夜間安全に通行するために照明設備を設置することもできます。
 通路開設については、袋地所有者の金銭負担になります。
 

6 ブロック塀をどけるように要求することはできますか

 できます。ただし、通路が他の土地に対して、最も損害が少ないところに設置していなければなりません。
 また、通行することができないことの金銭損害も請求することができます。金額は通路の賃料相当分を損害と考えればよいでしょう。
 最終的には裁判で解決することができます。
 

7 民法の中に、相隣関係については、他にどういう規定がありますか

 民法には、①隣地の使用に関するもの、②水に関するもの、③境界に関するもの、④樹木に関するもの、⑤工作物に関するものの規定がそれぞれあります。
 隣地通行権は①です。ほかには、③と⑤が大切です。
 たとえば、建物は境界から50センチ以上離さなければならないことなどが民法に規定されています。ただし、他の法律や規則などでこれが緩和されていることがあります。建築基準法では、防火地域内の対価建物は境界に接して建てることができるとしていまして、建築基準法の規定が民法よりも優先するので、防火地域内では50センチ離す必要はありません。
 また、1m未満の距離に建物を建てる際には、場合によっては目隠しを設ける必要があることが定められています。
 

8 他にどういう隣人トラブルがありますか

 ほかにも、騒音や日照の問題があります。
 これらに対しては、損害賠償や差し止め訴訟がなされることがあります。